TBS主催
武楽座『神曲 修羅六道』あらすじ
【第四圏】平経正の章 「礼」
ダンテ(南圭介)は修羅道を進むと黒く暗い黒海(くろうみ)に。灯火がぼうっと浮き、琵琶の音が響く中、武士か貴人と見える人影。人影は平家の一門の経正と名乗り、我が国の武士は武勇だけでなく礼と風雅を生きるなり。
経正は燈火を背にして深夜の月を手に取ろうとすると、帝釈天と修羅王の戦いは火花を散らし怒りの炎が雨となって身にかかるのを払う剣は他を悩まし我が身も切り裂く。流れる血しぶきは猛火となり、我が身を焼く苦しみにのたうつ姿が恥ずかしい。人には見えぬようにと思っていたのに。あの燈火を消そうと、愚かな身は飛んで火に入る夏の虫のように、嵐と共に燈火を吹き消して、暗闇に紛れ、亡者は消えていった。七支刀の四つめの #礼 の刃が輝いた。
※平経正は青山(せいざん)という御琵琶を奏で詩歌管弦に打ち込み、礼を重んじた若武者。