歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」
いつもお世話になっている脚本家の戸部 和久さんが脚本 補綴の「鯉つかみ」を拝見しました。
その昔、俵藤太秀郷が琵琶湖の守り雨宝童子に宝剣を授けられ大百足を退治した伝説の刀『龍神丸』を、時は移り、俵家の末裔釣家の小桜姫が、家宝『龍神丸』を探す旅に出た許婚の滝窓志賀之助の帰りを待ち焦がれ、幻想的な蛍狩りの最中に染五郎さん演じる志賀之助と再開するも、一足違いに『龍神丸』を取り戻したもう一人の志賀之助が館に戻る。二人の志賀之助に困惑するも持ち帰った龍神丸は本物。そこには過去の遺恨と、お家乗っ取りの陰謀が。宝剣龍神丸の威徳により、実は最初に現れた志賀之助が釣家滅亡を企てる鯉の化身であることが露見し、巨大な鯉を相手に小桜姫を救うべく大立廻りを演じます。長唄と竹本の掛け合いに乗せて二人の恋心を踊り、染五郎さんが主人公 滝窓志賀之助と鯉の精の一人二役で演じ分け、早替え、宙乗り、映像を効果的に使い、正体を見破られた鯉の精がダイナミックに湖に飛び込み、本水にて派手に立廻り、奇想天外、華やかなで歌舞伎ならではのケレンが楽しめる演目です。
染五郎さんは、来年一月に『松本幸四郎』ご襲名となり、染五郎の名では、今月が最後。お名残の舞台です。
ラスベガスでの前代未聞の巨大噴水『鯉つかみ』や、歌舞伎とフィギュアスケートの初めてのコラボレーションとして話題となった「氷艶 hyoen2017『破沙羅(ばさら)』」(こちらも戸部さんが脚本も手がける)など、新たな試みに次々と挑戦してきた染五郎さんが、今回も戸部さんの新たな脚本により、その名前の最後の舞台を飾ります。是非ご覧ください。
http://www.kabuki-bito.jp/sp/news/4366
※参考に、ラスベガスでの『鯉つかみ』に関連するドキュメンタリー番組『密着・市川染五郎 Kabuki in Las Vegas』に、戸部さんも映っています。
https://m.youtube.com/watch?v=GWrEsAZh_0w